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作家、演出家、前川知大の鈍ら(ナマクラ)な日々。時々切れ味の良い日も。かなり不定期更新。
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前川知大仕事状況
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[小説] 「散歩する侵略者」 メディアファクトリーより発売中 [連載] ■週刊モーニング(不定期連載) 「リヴィングストン」 漫画:片岡人生 原作:前川知大
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鈍ラ・エクスペリエンス
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前川知大          (まえかわともひろ)

  • Author:前川知大          (まえかわともひろ)
  • 海の生き物とキノコと豆、乾物が好きです。F1と料理が好きです。UMAや地獄の関係者も好きです。漬物だけは勘弁してください。
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2013.03.23 Sat
Twitter
「獣の柱」ちゃくちゃくと準備が進んでおります。
そんななか、ようやく劇団公式Twitterが始まりました。
ついでに私のTwitterも始めます。見るだけツイッターでアカウントだけはずっとあったんですが。
まとまったものはこちらに書くと思いますが、さすがにTwitterの方が頻度は上がるでしょう。
どうぞよろしくお願いします。
リンクは右上に。劇団公式はイキウメwebからどうぞ。
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2013.01.30 Wed
紀伊國屋演劇賞
ちゃんと記事にしとかんと、と思い。
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歴史ある紀伊国屋演劇賞をうちの浜田信也がいただいたのです。
すばらしいことです。
下記が今年度の受賞者。ここに並んでることの僥倖。

・ 団体賞 :こまつ座
・個人賞:東憲司、那須佐代子、神野三鈴、佐々木蔵之介、浜田信也

先輩方から「嘘だろ、あの浜田が、なぜ、ふざけんな、おめでとう」とありがたい言葉をいただきました。
「劇団を代表していただいたと思っています(汗)」と浜田もスピーチで言ってたので許してあげてほしいところです。

小劇場の小さな劇団の俳優でも、ちゃんとその成長を見続けてくれる人がいるというのは嬉しいことです。
ありがとうございました。




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2013.01.15 Tue
鱈の煮付け
新潟でのこと。
市場で新鮮な鱈を買った。
骨ごと輪切りにして、腹子も白子も肝もまとめてパックにぎゅうぎゅうに詰めてくれた。
そのまま煮付けにできる。
実家にいた頃、旬には必ず鱈の煮付けが食卓にあがったものだ。あれは美味い。
「煮てくれたまえ」と私は母に鱈を渡した。
生の鱈の煮付けには、水を一滴も使わない。合わせた調味料だけで火にかけると、鱈の水分が出て煮えるのだという。母は慣れた手つきで鱈を鍋に並べながら言った。
なるほど、それであのように身が締まり味のしみた煮付けになるのかと納得した。
親も歳をとる。幼い頃から食べたなれた家庭の味を、今のうちに収集しておかねばと、このような時によく思う。

食事の時間だ。
私は期待とともに鍋の蓋をあけ、自ら鱈を器にもる。
優しく扱わないと身の柔らかい鱈はホロホロと崩れてしまう。
む、やや鍋底にくっついてしまっているな。
「お玉なんかでやるからだ、ヘラを使え」と母。
確かにそうだが、煮汁も入れたかったのだ。がしかし、煮汁がどうやら少ないようだ。鍋底にくっついていることと無関係ではないだろう。
食べた。
少し味がうすいような気がする。まぁ、薄味の方が体にはやさしい。「上品な味だな」と言語化することで、肯定的に印象操作した。
器の下にわずかに溜まる煮汁に身をくぐらせ、口に運んだ。
そして直径3センチはある大きな腹子。贅沢ではないか。
箸で割るか、それともかぶりつくか。もちろん後者だ。
かじった。鼻先に現れた腹子の断面、ん、色が不穏だ。
密度の高い卵塊は火が入りにくい、私も経験がある。
冷凍カレイ(卵つき)を凍ったまま煮る時にありがちなミスだ。

「卵に火が入っていないようだ」
「あら、そうかい、それは悪かったね」

私は、底が焦げ付いたうえ煮汁の少ない鍋に戻して火にかけることは得策でないと判断し、レンジで火入れすることを選択。
パンパン、ボン!とレンジの中で銃を乱射するような音が響く。卵がはじけているのだ。もういいだろう。
火は入った。
入った。だがどうしても、気づいてはいたが、鱈の、生の鱈独特の臭いが残っている。
はっきり言おう。生煮えだ。
上品な味だと? 違う。煮汁が回っていないのだ。
体にやさしいどころか、お腹を壊してしまうかもしれないのだ。
煮汁が少ないから上層に火が入らず味も染みない、下層は焦げ付く。
なぜこんなこんなことが起きた。
これは、失敗だ!
「うわあああああ!美味しい鱈の煮付けが食べたかったのに!」

と雪積もる庭にかけ出して、のたうち回りたい、がそんなことはしない。
母が可哀想だし、風邪をひいてしまう可能性があるからだ。そんなことをしたら、妹や姪、私の家族も同席しているこの食卓が、メチャクチャになってしまう。

「母よ……やはり部分的にだが、火が入っていないようだ」
と私は恐ろしい事実を、さも些細なことのように告げた。
レンジで試した結果から、これは今この場でリカバーできる問題とは思えない。
「……そうだね、食べるのやめな」
と母はさして気にする様子もなく、言った。

メインの喪失。
食卓を預かった者にとって、これ以上の惨事があろうか。
私は怯えた。大変なことになるぞ。
しかし
「まぁ他におかずもあるし、ね」「そうそう」
と食卓の空気は簡単にリカバーされた。
母は細かいことを気にしない性格なのだ。

食後、私は鍋を確認した。
よく見ると蓋が合っていない。壊れたので、違う鍋の蓋を使ったそうだ。
そもそも鍋自体が大きく、余白に蒸気がたまりにくい。更に蓋が密閉できないので、蒸気が逃げる。上層の温度が上がらず、煮汁も対流しない。底だけが焦げる。
私はこのことを母に説明した。
手順は間違ってなかった。問題は鍋だ。

「駄目だな、あの鍋は」
「うん、駄目だあの鍋は」
「もう二度とあの鍋を使わないほうがいいよ、とんでもない鍋だ」
「えらい目にあった。あの鍋め」
「蓋が無いなんて、どうかしてるよ」
「ああもう二度と使わない。使ったとしても、麺を茹でる時くらいさ」

本当のところ、母はとても傷ついていたのだ。
子供のリクエストに答えられなかったこと、新鮮な魚を台無しにしたことを。
(蓋の選択というミスはあったが)原因が鍋と分かり、母も気を取りなおした。
違う鍋に移して、煮汁を足して煮直そうとしたが、予想以上に底にくっついている。どうしても身が崩れてしまうのだ。
忌ま忌ましい鍋め。

母の選択。
鍋ごと捨てた。

「実のところ、そうとうムカついていたようだね」
と母に言うと、
「あぁもう、アッタマきた!」
と吠えた。




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2013.01.08 Tue
謹賀新年
あけましておめでとうございます。
昨年は「MISSION」「暗いところからやってくる」「The Library of Life」を上演しました。
ご来場いただきました皆さま、ありがとうございました。
劇団は今年で11年目に入ります。
5年ごとに区切れば三期目。どう変わっていくか。
今年も新しい企画を準備中です。
今年もよろしくお願いいたします。

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↑正月の実家に転がってた「めで鯛」というベタな菓子。
マヤ文字にしか見えん。

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去年の年末、2012/12/21はマヤ暦の終焉で最新の世界滅亡Dayだったが、今回も切り抜けたようです。(正確には終りでなくて歴が一巡)
翌日その辺が大好きな好事家の友人に「大丈夫だったね」とメールしたら
「あれ、気付かなかった? 俺、昨日までの俺とは関係ない人間なんだ。世界は更新されたんだよ。お前も例外でなく」
と書かれていて、さすがだと思った。
「更新されなかった人もいるのでしょうか」
「そりゃいるでしょう」
「どうなるの?」
「滅びるよ、ゆっくりと。気づいてないだけだ。だってお前――」
「あ、ちょっと、うん、選民思想入ってきたからこの辺で」
菓子を頬張りながら、そんな戯れを思い出した。

三が日は実家でごろごろ食っちゃ寝しながら一年分のテレビを見る。
政権交代があって、震災から二回目の年越しだったわけだが、テレビをぼんやり眺めていると、なんだか一年前より後退してるように思える。
ちゃんと更新されてるのか、怪しい。



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2012.10.07 Sun
SHINSAI
「まとめ・図書館的人生」の稽古が始まった。
演出家として稽古場にいるのが久しぶり。昨年の「太陽」以来だ。
出演者は劇団員+オーディションから菊池明明(ナイロン100℃)と西山聖了。
実はこの二人、8月のイベントで数日だけご一緒している。
稽古一日、本番も一日のリーディングイベントで、厳密には演出もその時やってはいるのだけど。

それについて簡単に記す。
2012/03/11にアメリカ各地で「SHINSAI Theaters for Japan」というイベントがあった。これは被災した日本に向けて、日米作家の短編や断篇をリーディングするチャリティ公演。
それに応えた日本版が8/5に座・高円寺2で、日本劇作家協会の主催で行われた。
19の短編があり、私は坂手洋二さんの二本を演出した。どちらも10分弱の短編だ。

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「一時帰宅」
出演者:有川マコト、加茂杏子、川添美和、工藤祐樹丸、西山聖了、猫田直、藤井びん、安井順平

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「血の問題」
出演者:菊池明明、安井順平

今更だが、そういうのやった。
初めて会う俳優さんも多く、楽しい現場だった。

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