作家、演出家、前川知大の鈍ら(ナマクラ)な日々。時々切れ味の良い日も。かなり不定期更新。
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前川知大          (まえかわともひろ)

  • Author:前川知大          (まえかわともひろ)
  • 海の生き物とキノコと豆、乾物が好きです。F1と料理が好きです。UMAや地獄の関係者も好きです。漬物だけは勘弁してください。
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2007.05.31 Thu
お茶と焼き海苔
ho.jpg

先月、法事で新潟の実家に帰った際、
地元の日本酒専門店で八海山の原酒を買いました。
池袋に私の料理の師匠がいるのですが、
しばらく顔を出してなかったので
日本酒でも持って遊びに行こうと考えたのです。
そして今月ももう終わるというのに、
忙しさにかまけて結局まだ行っていないのでした。
ということを部屋を掃除していて、ふと思い出しました。
その日本酒を部屋の隅に発見したからです。
八海山の一升瓶には、
原酒なので要冷蔵、お早めにお飲みください。と書いてあります。
要冷蔵!
期間限定のお酒なのになんてもったいないことを。がっかりです。
一升瓶をバッティングセンターで振り抜きたい気分でした。
一ヶ月以上も常温放置したものを師匠にあげるわけにもいきません。相手は料理人ですから。
今更ながら冷蔵庫に入れました。

掃除を続けると、乾物系を入れている箱から、
大量の焼き海苔が出土しました。
焼き海苔は実家の母がよく送ってくれるのです。
だいたい緑茶とセットになって送られて来ます。
昔巣鴨の地蔵通りに住んでいた時も不思議に思ったのですが、
なぜお茶と海苔というラインナップなのでしょう。
(土地柄、地蔵通りは乾物屋や御茶屋が多いのです。)
お茶屋さんの店頭には必ず焼き海苔があります。
陸のものと海のもの。お茶漬け海苔で有名な永谷園も元はお茶屋さんです。
ふと永谷園のサイトをのぞいて見ると、
現行の商品にはお茶も海苔もありません。
お茶漬け海苔を売ってるから良いだろうということでしょうか。
何かを見失ってないか心配です。

焼き海苔はなかなか消費できません。
手巻き寿司パーティはそうそうあるもんじゃないのです。
中には賞味期限が半年も過ぎたものがありました。
食材を腐らせる奴は最低です。
これはいかんということで、佃煮海苔にすることにしました。
「ごはんですよ」でお馴染みのグチョグチョしたアレです。

全形10枚の海苔をさっと火であぶり、細かくちぎります。
それを醤油、ざらめ、みりん、水の調味液に浸してふやかします。
後は弱火でことこと焦がさないように煮詰めるだけです。
しかし問題は、私は海苔の佃煮があまり好きではないということです。
アレンジしました。
干しシイタケのスライスと、鰹節、粒山椒を大量にブチ混みました。
木べらで混ぜながら丁寧に煮詰めること45分。
素晴らしい香りが立ち上がってきます。完成しました。
プロセスが楽しいのでもう満足です。
品物は窓から投げ捨ててもよいのですが、
とりあえず荒熱を取って、味見してみました。

「こ、これは!」と、グルメ漫画のようなリアクションをとってしまうほどの美味さでした。
市販の佃煮海苔には残念ながら私の人生から退場してもらうことになるでしょう。

急きょ、米を炊くことにしました。
これまた実家から送られてきたコシヒカリです。
冷凍ご飯もありましたが、この佃煮海苔は炊き立てご飯とマリアージュされるべきです。
炊飯器のスイッチを入れ、炊き上がるまでに味噌汁も作ります。
手持ち無沙汰になったところで、「待てよ」と気付きました。
八海山(原酒)です。
この海苔をなめながら八海山、私は小躍りしました。
贅沢じゃありませんか。

八海山はちょうど良く冷えてました。常温放置でしたが味は大丈夫でしょうか。
テイスティングしてみると、これまた「むう・・・」と唸ってしまう切れ味の良さ。
師匠のところに持って行けたじゃないか、と思いましたが後の祭です。
磯の香りにシイタケの出汁、舌に残る粒山椒の辛味。これを八海山で洗い流します。
きりっとした飲み口の後に残るほのかに甘い香り、箸は自然と佃煮にのびるのです。
「ばかやろう!」
と私はテーブルに拳の鉄槌を振り下ろしました。
最大の賛辞です。




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2007.05.25 Fri
フラッシュ!
fla.jpg

ターボライターというんですか。
カチッと点けるとガボーって小さなドライヤーみたく火ぃ吹きますね。
煙草が一瞬で点くところをみると火力はかなり強いようです。
しかし火自体は薄い色であまりよく見えません。
あの火のリーチはどれくらいなのでしょうか。

十年ほど前に探偵物語が再放送された時、
私の周りでも百円ライターを改造して火柱が10センチもあろうかという、
いわゆる工藤ちゃん仕様にする者がいくらかいました。
恥ずかしながら私もその一人で、
思わずメガネ表面の金属コーティングを台無しにし、
まつげをチリチリと焼いた経験があります。
メガネユーザー以外の人の為に書いておくと、
メガネ表面は薄ーく金属の膜で保護されています。
高温にさらされると、プラスチック素材のレンズより先に、
その金属膜が溶けてしまうのです。
流れ出すことも無いほど微量なので溶けるという印象はなく、
単に曇ったようになります。こうなるともはや修復は不可能です。ジエンドです。

私は銭湯や温泉にもメガネをかけて入ります。
不特定多数の衆人環境で視力を失うのは危険極まりないからです。
おまけに全裸という防御力ゼロ状態でもあるのです。
いつ誰に視線という暴力を振るわれるか分かりません。
私を嘲弄する視線に対して、熱湯をもって戦う準備があることを
目力によって常に意思表示することが、そこで出来る数少ない防衛なのです。
私は曇るメガネを定期的にぬるま湯にさらし、視界を確保します。
以前サウナにはまっていた友人に誘われ、サウナに行きました。
私はそこで当然メガネ装備でサウナに入りました。
しかしサウナから出ても、どういうわけかメガネの曇りが取れません。
金属コーティングが溶けかけ、サウナから出た時点で冷やされ固まったのです。
顕微鏡のようなもので拡大して見ると、
干上がった大地のように細かくひび割れた状態になっているそうです。
無数の細かいひびが拭いても取れない曇りの原因です。
メガネ屋に駆け込み訴えたところ、上記のような説明を受けました。
夏の車内に放置された状態でも同様のことが起きるようです。
メガネ君メガネさんはご注意ください。

話を戻すと、ターボライターのリーチはいかほどか、
という疑問を、実験によって解消する必要があると思いました。
メガネやまつげを燃やすのはもうごめんなのです。
実験は簡単です。手に持ったティッシュに向かって、
着火したライターを近づけていくだけです。
(暗闇でもやはり火は見えないのです。)
5センチくらいまで来てもティッシュは平気な顔をしています。
ターボのわりに意外とリーチは短いようです。
更に1センチほど近づけると、ティッシュに茶色い染みが発生し、
次の瞬間メラメラと燃え出しました。
急に勢いよく燃え出したティッシュにも、私は動揺せず、
手首のスナップを利かせ消火しようとしました。
しかし火は消えないどころか、手首のフリースに引火しました。
その後はイリュージョンのようでした。
手首から肩にかけて、一瞬の内に火が駆け上がったのです。
「はあっ!」と意味不明の声をあげ、
私はスタントマンのように椅子から飛び上がり、
フローリングの床にダイブしました。
地面で嬉しそうにゴロゴロする、例のアレです。
無事に火は消え、ほぼ無傷でした。
モミアゲと耳たぶの産毛が少し焦げたようです。
夜中の4時に、軽く火ダルマになりました。恐ろしいことです。
友達の衣装さんに聞いたところ、
これは「表面フラッシュ現象」というらしいです。
起毛した衣類に引火すると、上方に駆け上がるように、
瞬間的に燃えることがあるそうです。
正にそれでした。フラッシュです。
実験結果としては、ターボライターは意外と安全、
フリースは結構危険、ということでした。
室内の火遊びは気をつけましょう。




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