作家、演出家、前川知大の鈍ら(ナマクラ)な日々。時々切れ味の良い日も。かなり不定期更新。
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前川知大          (まえかわともひろ)

  • Author:前川知大          (まえかわともひろ)
  • 海の生き物とキノコと豆、乾物が好きです。F1と料理が好きです。UMAや地獄の関係者も好きです。漬物だけは勘弁してください。
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2010.06.17 Thu
ぶらり演劇をみる。
近所に小さな劇場があって、時々演劇にも使われている。
駅に行く時など前を通るので、立ち止まって張ってあるチラシを見たりする。ワイワイと大道具を搬入してるのを見たりすると、同業者ゆえ親近感がわく。
が、一年以上住んでいるのに一度も入ったことがない。
先日前を通ると、劇場前に並ぶお客さんに混じって、派手な舞台衣装を着た役者たちがうろついていた。祭の雰囲気が漂っている。面白そうだ。
どんな芝居をするんだろう。
チラシでも貰えばいいのだが、なんか忙しそうだし、声をかける勇気がない。
家に帰って早速ググる。と、なかなか面白そう。
観たい。開演まであと20分、徒歩5分なので余裕だ。
チケットはいくらかな、おお、2千円しない。良心的。
しかし財布を見ると、なんと28円しかない。2ケタとは驚いた。お札コーナーに見えた札らしきものは佐世保バーガーの偽札みたいな割引券だった。
うーむ。
私は現金をもっていないことがよくある。駅周りやコンビニは大体suicaやiDといった電子マネーで済ますことが出来るし、他やスーパーでもカードが使える。言っておくが金がないわけじゃない、私は電子マネーが大好きなのだ。本当だ。
とはいえ、劇場受付で「お財布ケータイ使えます?」なんて言ったらナメてるとしか思われない。銀行のカードは運悪く家人が持ち歩いていたので、金は下ろせない。家にある現金を探すしかあるまい。
私は家人に電話した。

「家に現金はあるか? 隠し場所を言え」
「現金は無い」
「一円もか?」
「無いと言っている」
「そんなはずはないだろう」
「無いものは無い」

ウチは貧乏なのか? 分からない。知りたくない。

「どうしても必要なら、ドラえもんのケツをえぐれ」
と言って家人は電話を切った。

ドラえもんとは、昔から我が家にいるドラえもんの貯金箱である。
彼は尻の辺りがゴムキャップで塞がれている。キャップで塞がれた穴は500円玉がやっと通るくらいの楕円形で、はっきり言って中の硬貨が出にくい。
貯金箱を降っても、まとまった硬貨が詰まって出てこないことがほとんどだ。そういう時は指で穴を突付いて、塊を崩してあげるのだ。パラパラと幾つか出てくるも、すぐにまた詰まってしまう。また指で突付く。その繰り返しで、硬貨を少しずつ出していく。
その作業はどう見てもドラえもんの肛門を指でオラオラと突付いているようにしか見えず、なんとも言えない気分になる。
我が家ではその貯金箱がちゃんと機能していて、割とよく金が入っている。困った時はそこから小銭を出して使うのだが、「ドラえもんのケツをえぐる」というのはその行為の隠語である。隠語というか、見たまんまだが。

よしと、いつもの様にオラオラオラオラ!っとえぐる。
ドラえもんの内臓は千円以上あった、が、まだ足りん。チケット代には届かない。くそっ。私は自由に演劇も観れんのか、演劇人なのに! 
金、金だ、金はどこだ!
ああ、開演時間が迫る。開演時間に遅れて劇場に入るなんて同業者としてあるまじき行為。そんな失礼はできん。金はないのか? 家中の引き出しを開ける。
あった! でもこれ、いくらあるんだ?
引き出しの奥に見つけたのは、棒金だった。棒金とは硬貨が50枚包装されたもの。レジによく入ってるヤツだ。そういえば以前の公演時、受付の人に頼まれて両替したんだった。それが使わずに残っていた。10円玉だから、1本500円か、2本あるから千円、よし、これで観れる。
10円、50円、100円と、硬貨だけで二千円ほど集まったが、財布に入らない。そして重い。何よりこれで払ったらちょっと引かれるよな。
いや、受付ではむしろ小銭の方がありがたいはず。「こまかいのありますか?」なんてよく言ってるじゃないか。いや、こまかすぎる。それになけなしの金集めて来ました、ていう風情がきつい。事実そうなのだが、いやだ。

コンビニに行った。「崩してもらえますか」と万札出すと嫌がられるけど、逆のパターンならいいんじゃないかと思った。
バラの小銭は無理だが、棒金2本は千円にしてもらえるはず。
律儀に水を一本買い、ついでに両替をお願いする。
「これを千円にしてもらえますか?」と棒金を2本出した。店員は予想外という表情だったが、快く両替してくれた。
あとは小銭だらけだけど、我慢しよう。これで何とかお芝居が観れる。
私は金を握りしめ、走って劇場へ向かった、「くださーい!」

→満席。チケット売り切れ。

ドラえもんのケツえぐってまで来たのに。
いや、自分の都合を押し付けてはいけない。客が入ってるのは良いことじゃないか。
キャンセル待ちの引換券を貰い、開演まで大人しく外で待つ。

幸い入場することができた。
役者たちは皆20代前半で、大学生も混じっているようだ。芝居はとにかくすさまじい熱気で、圧倒された。
どんな表現でも、完全にインディペンデントでやっていた頃と、社会に流通してくる段階では、やり方が違ってくる。洗練された分パワーが無くなった、なんてよく聞く言葉だ。自分たちの表現をどう社会に適応させていくか、位置付けていくか、そこでの選択で方向性は変わってくるだろう。何が正しいということはないが、時代によって幸不幸はある。
ここで観た芝居は、様々な衝動の発露で、全てのゲージがMAXであった。はっきり言ってカオスだったが、そこが面白かった。この世代が作る演劇を観たのは久々で、なかなか刺激的だった。
この劇団これからどうなっていくんだろうなー、
そんなことを思いつつ、庭の雑草をむしっている私は今月で36歳になった。ていうか俺も台本書かなきゃ、同じ同じ。

ぶらりと劇場に入ってみる、という文化は残念ながら育ってないが、勇気を出してやってみると面白いこともある。








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